FC2ブログ

spirit trace

スポンサーサイト 

スポンサー広告 |

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- |  trackback: -- | comment: -- | edit

黒丸 

ネタ |

そろそろお昼に差し掛かろうとする時刻、車の通りが少ない道路を歩いていた。
良く晴れていて、曇りとは無縁の天気だった。雨など降るはずもない。
しかしその時、雨よりも降るはずのないモノが降ってきた。
「ドカキン!」
上から降ってきたのは真黒い鉄球だった。重さ大きさともに、砲丸の球にそっくりだった。
「え、いやっていうか、あと数秒家を出るのが早かったらこれに当たって死んでたぞ俺・・・」
などと冷や汗をかきながら鉄球を見つめたり持ち上げたりしていると、再び
「ドカキン!」
と、鈍い金属音が前方数メートルで響いた。同じような鉄球が再び落ちてきたのだ。
「え、なに、いよいよ殺しにきてるの?」
右手に先ほど殺されかけた鉄球Aを持ちながら、目の前に落ちてきた鉄球Bを左手に乗せる。
持った感じ、鉄球Aも鉄球Bもどうやら同一のものらしい。
(ガリレオが実験でもしてんのか。いやここイタリアじゃねーし)
そんな事を考えていると、鈍い金属音が前方数メートルで響いた。
言うまでも無く、鉄球Cが落ちてきたのだ。

その後も鉄球は落ち続け、僕はその後をたどっていった。
(ヘンゼルとグレーテルみたくパンくずとかだったら優しいのに)
鳥に食べられる心配は無いのが救いだが、さすがに道路に鉄球を放置するのも忍びないので、
全てを歩道脇に寄せながら歩いていた。
その鉄球をたどっていくと、やがて川に到着した。
「ドカキーン!!!」
今までにない金属音を響かせて落ちてきたのは、黒色ではなく金色の鉄球だった。
川べり落ちた金色の鉄球を拾い上げると、それ以降は何も落ちて来なくなった。
どうやら打ち止めらしい。
「いやあのえっと……」
ここまで馬鹿みたいに鉄球を追ってきたが改めて考えると、自分が何をしていて、どうして鉄球が落ちてきているのか皆目見当がつかない。

「分からんわっ!」
僕は重い金の鉄球を振りかぶり、川へと投げ捨てた。
飛距離もでず、はねた水しぶきがズボンの裾にかかってしまったが、気になるほどでもない。
「帰るか」
そう言いながら踵を返した瞬間、背中から何かの気配を感じた。
恐る恐る振り返ると、そこには白装束を纏った黒髪ロングの女性が立っていた。
流石にそれには驚き、びくっと体を一瞬硬直させてしまった。
言葉もでないまま、ただ脅えていた僕に向かってその女性は話しかけてきた。
「貴方が落としたのはこの金の鉄球ですか、それとも銀の鉄球ですか」
まさかのイソップ童話だった。よく見ると、両手にそれぞれ金の鉄球・銀の鉄球を持っている。
そして重いのだろうか、女性もとい女神(仮)の腕が小刻みに震えている。
「えっと、金の方です」
僕は童話にならい、正直に答えた。
「貴方は正直者です。こちらの銀の鉄球も差し上げましょう」
そう言うと女神(疲)も童話にならい二つの鉄球を僕の方へと投げてきた。
反射的に鉄球をかわした僕が顔を上げると、いつのまにか女神(帰)の姿は消えていた。

「いや……正直どちらもいらないんだけど……だから捨てたわけだし」







完全に夢だった。
当り前だ、現実で起こってたまるかこんな事。
空から鉄球が降ってくるなんて。

寝過ぎてしまったのか、そろそろお昼に差し掛かろうとする時刻だった。
カーテンを開けると、外は曇りどころか、雨まで降っていた。
「雨かよ……せっかくでかける予定だったのに」
気分まで曇天になってしまった僕は再びベッドに横になった。
「あれ、待てよ」
ふと疑問に思う事があり、僕はスマホを手に取りブラウザを起動させた。

『検索:天気記号』

「今日は雨だから……あぁ、だから夢で黒い鉄球が降ってきたのか」
これも正夢といえば正夢なのだろうか。
こじつけで理解はしたものの、何だか納得できず腑に落ちなかった。
いやいや、鉄球なんぞ腑に落としてたまるものか。
そうして僕は、もうお昼に差し掛かっているというのに、二度寝を始めたのだった。
スポンサーサイト
22:11 |  trackback: 0 | comment: 0 | edit

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://spirittrace.blog43.fc2.com/tb.php/4-bc0dea03
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。